食品の味を数値化したデータを元に、食にまつわる様々なサービスを提供している「味香り戦略研究所」は、ウニの味をリアルに再現した「だいたいウニ」など、4点のレシピと味データを「フードNFT」として発行したと発表しました。
フードNFTとは、様々な食品や料理の味、レシピなどをデータ化し、さらにNFT化したものを意味します。単なるデジタルデータではなく、NFTとすることで恒久的な保存を実現し、かつ独自性も担保。「味の著作権」としての運用を可能にします。
フードNFTの活用を推進する味香り戦略研究所は、こうした味の著作権を提唱しつつ、魅力ある料理や思い出の味、国や地域の伝統の味などを記憶遺産(資産)として残し、フードNFTに関する市場を創出するために活動する企業。そうした理想を実現するべく、同社を中心に複数の企業・団体などで設立されたのが「フードNFTコンソーシアム」という組織です。
フードNFTコンソーシアムでは、2022年4月に、チョコレート会社のセディカルが提供するブランド「メディカレート」がリリースした「ケトサポート」の味覚データとレシピデータを、初のフードNFTとして提供しています。それに続くNFTとして今回白羽の矢が立ったのがウニを始めとする4品でした。
同研究所では感性分析機器を用いて味・香り・食感といった「おいしさ」のメカニズムを可視化。さらに、12万件を超える食品の味覚データベースを使って、味に対する個人の嗜好性を解析するシステムも開発。これらの技術をフードデジタルソリューションとして提供しており、フードNFTもその活動の一環です。
フードNFTでは、レシピデータおよび味データを、ブロックチェーン上にオールオンチェーンで保存。これにより記録の消失や改ざんを防ぐだけでなく、データを資産として管理・運用することが容易になり、再現性が高いことから持続的な活動に向けた保存や、後進への継承にも適しています。
そもそも、食の市場は課題が溢れており、急激な気候変動による需給バランスの不安定化、乱獲で起きた天然資源の枯渇、廃棄野菜の活用不足など、解決を要するものが山積している状態です。しかし、味(おいしさ)の再現が可能になれば、消費者の満足感を損なわずに代替食品を活用でき、さらに廃棄野菜の有効利用などにもつながることが期待されます。
今回のフードNFT発行では、「だいたいウニ」に加え、味覚を専用の機器で測定する際に使用する「麦酒測定用校正基準液」、「珈琲測定用校正基準液」、「トマトジュース測定用校正基準液」の3品も同時に発行。詳細はフードNFTコンソーシアムのWebサイトで閲覧できます。
まだ始まったばかりのフードNFTに関する取り組み。今後も実験を重ねながらラインナップを増やし、コンソーシアムの参加企業も増えていくことで、味の継承や食糧危機への対策、災害ソリューションとしての活用など、幅広い可能性を感じさせてくれます。
美容が好きな20代。貯金は美容にかけていることが多いです。
インコと一緒に暮らしています。